こんにちは、スピーチ講師の森川じゅいちです。
スピーチでは効果的な接続詞を取り入れると、聞き手にとてもパンチがあります。
その中でも「逆接」とはその字が示す通り、逆の意味のことをくっつけることを指します。
2つの全く意味の反する文があれば、それをつなげる接続詞にあたります。
スピーチ冒頭でいきなり逆接な言い方をすれば非常にインパクトがあります。
ということで今回は、スピーチでの逆接を取り上げます。
注目されること間違いなしなので、最後までスピーチとしてまとめあげてスピーチを成功させたいですよね。
また人との会話中には気をつけたい逆接の注意点についても言及します。
スピーチの接続詞であなたの話が一気に注目される
スピーチの冒頭は最も聞き手から注目されます。
その時にインパクトのあるきっかけを作れれば、聴衆の注目はあなたの中にあります。
例えばスピーチの冒頭で、以下のように始めたらどう思いますか?
「全く運動しなくても、やせられる方法が実はあるんです!」
「セールスをしなくても、どんどん売ってしまう営業マンがいるって知ってますか?」
「塾に通わせなくても、子供を東大に入れられる方法を知りたくないですか?」
こんな言葉を投げかけられたら、人は誰でも注目しますよね。
全くの意味が反する内容をさらっと一文で表現する方法は、聞き手は「何なんだ?」と惹きつけることができます。
あなたの話を一気に分かりやすくするための接続詞
日本語の接続詞には6種類あると言われていますが、逆接は以下のような接続詞です。
前の事がらから、当然、類推される結果とは逆の結果があとに続く。
「しかし、しかしながら、が、だけど、けれど、ところが、のに、なのに、にもかかわらず」
引用元:https://pothos.blue/setuzokusi.htm
接続詞のあとに逆の結果が続くので、一気に話の展開が変わりそれが聞き手にも伝わります。
ですので展開がさほど変わらない場合にあえて逆接を使うことはやめたほうがいいです。
逆接の接続詞を使ったスピーチの成功例
今から30年前に話はさかのぼります。
私は当時経営コンサルタントの会社で勤務しており、地域一番を目指す家電店のコンサル窓口を担当していました。
その顧客メンバーの中に北海道・帯広で電器屋を経営する大塚常夫さんという方がいらっしゃいました。
店名は「100満V(ボルト)」。
「お客様に100%満足してもらってVサイン」が店名の由来です。
大塚さんは、個人の接客トークだけで年間何億もの売上をたたき出している凄腕社長でした。
そのトークはとても素晴らしく、瞬く間に業界でも話題になりました。
実際にコンサルグループの集まりでその接客トークを披露してもらったのですが、そこには逆接の接続詞を使ったスピーチが生かされていたのです。
その内容は今思い出してもとてもインパクトがあったので、回想しながら書かせてもらいます。
いらっしゃいませ。
奥さん、この18万円の冷蔵庫いいですよね。
今とっても人気機種なんです。
少々お高いんですが、それが「なんとタダになる」って話を聞きたくありませんか?
お客さんが先ほどからずっとこの冷蔵庫を見られていたということは、400リットル位の大容量がご入用のようですね。
今お使いの冷蔵庫は10年以上前のものといった感じでしょうか。
ちなみに10年前の冷蔵庫の電気代は、月にどれくらいかかっているかご存じですか?
10年前のこのサイズの電気代は、月々○○〇〇円くらいかかりましたが、この新発売の冷蔵庫は×××円で済みます。
月々のランニングコストがなんと1000円も変わってきます。年間にすると12000円。
15年間使用すれば、180,000円もかわってくるのです。
あっ、18万円と言ったらこの冷蔵庫の値段ですね!電気代の違いだけで元が取れてしまうんです。
どうです、タダになるでしょ?
買っていただいて15年間何か故障がありましたら、いつでも駆けつけます。
もちろん古い冷蔵庫は無料で引き取りますよ。
これを聞いていて、私自身が大塚さんの接客トークに一気に引き込まれてしまいました。
このような話し方でアプローチされたら、お客は思わず買ってしまうでしょう。
これは30年前の話になりますが、アフターサービスといった付加価値を付けるとはいえ、商品を値引きすることなく定価で販売する技術は素晴らしいですね。
逆接スピーチをうまくまとめた例だと思います。
追記
この接客スピーチを聞いた1年後、大塚さんは残念ながら不慮の事故で他界されてしまいました。
しかしその「100満ボルト」の店名は、同じコンサルグループに在籍していた福井県の3Q電器が引き継ぎ、北陸地方でチェーン展開しています。
大塚さんの経営ポリシーは今もなお生き続けているのです。
逆接の接続詞の多用は聞き手の気持ちを害する
あなたはこれまで、だれかと会話をしていて気になった言葉ってありますか?
ほんの些細な受け答えの「返しの単語」を変えるだけで、相手と話しやすくなったり、逆に嫌な思いをしたりするのです。
スピーチは自分の思いを伝える手段です。
日頃のよくある会話の中でも、相手に受け入れられる話し方のスキルアップができるのです。
聞き手が2人以上になれば、それはれっきとしたスピーチです。
次に、そんな些細な受け答え方を見直し、相手とのコミュニケーション改善に役立つ方法について書いていきます。
ちょっと気にするだけで大きく変わる方法ですよ。
相手が何かを言ったあと、「でも~」で返すのが口癖になっている人がいます。
聞いているほうは否定されているようで気分はよくありません。
↓例えばこんなケースはどうでしょう
A:「明日休みだから、映画でも行かない?」
B:「でも、いま面白いやつ上映してないでしょ。」
A:「そっかぁ、じゃあ駅前にできた新しい店に行ってみない?」
B:「でも、明日晴れそうだから、どっかへドライブしたいな」
Aさんが、いろいろと提案してくれているのに、すべて「でも・・・」で返しています。
ことごとく否定されたAさんは気分がいいでしょうか?
「でも」を口癖にしている人の特徴として、マイナス思考でネガティブな考え方が見られます。
でもに続いて出てくる言葉は、後ろ向きな言葉になってしまうのです。
「でも」の代わりに使えるフレーズがある
では、以下の会話ではどうでしょう?
A:「明日休みだから、映画でも行かない?」
B:「いいねぇ、でも今面白いもんやってないんじゃない?」
A:「そっか、じゃあ駅前にできた新しい店行ってみない?」
B:「うーん、それだったら天気よさそうだからドライブしたいな」
Bさんは、すぐに否定するのではなく、Aさんの言うことをいったん受けとめた上で返しています。「でも」を使っていてもAさんは否定された気分にはならないのです。
最初に発する言葉をとってみても、同じことを言っても受け取り方が変わるのです。
上記の会話でもBさんが使っている「それだったら」。
これがとても便利なフレーズです。
このひとことで、相手の言葉に反論することなく自分の意見を前向きに言えているのです。
特に上司や目上の人と話す時には、「でも」は相手の気分を害することにもなります。
「それだったら」はタメ口になるので、「それでしたら」に変えてみましょう。
ぜひ、仕事上の会話でも使ってみてください。相手の反応が明らかに変わりますから!
英語で言うなら「but」ではなく、「on the other hand(一方で)」や「instead of(そのかわりに)」を使うニュアンスです。
あなたは会社で社員相手にプレゼンすることもあるでしょう。
プレゼンの最後には質疑応答の時間も設けられます。
その時には質問に対し、「でも」という逆接語には気をつけてみてください。
極力使わないことで、あなたの意見が相手にうまく伝わったりします。
逆接は、聞き手にインパクトのある表現です。
あなたのスピーチを効果的にするためにも、相手に嫌な思いはさせたくないですね。
ですから使い方によっては「もろ刃の剣になる」と考えてください。