こんにちは。スピーチ講師の森川じゅいちです。
あなたはスピーチをする時にフィラーで悩んでいませんか?
フィラー(filler)とは「スキマを埋める」という意味で、スピーチにおいては「えー」「あのー」「まあ」など、発話の合間に挟み込んでしまう言葉のことです。
そもそもフィラー自体は誰でも言ってしまうため、決して言ったらダメなわけではありません。
むしろ言ってもいいと私は思っています。
ですが、話す途中の「、」や「。」のたびに、「えー」や「あのー」と何度も言われると聞き手からは耳障りに感じます。
そのことで相手が気になって不快に思えば、せっかくのあなたの話もうまく伝わりませんよね。
フィラーを言う回数が多い人は、すでにそれがもはや「口癖」になってしまっているのです。
今回は、それが起きる原因とその対策方法について書いています。
直すのには少々根気も要りますが、しっかり意識すれば必ず良くなります。
一番よくないのは、フィラーを言っていることを自分自身が気づいていないことなんです。
ココがポイント
あなたのスピーチを気持ちよく聞いてもらうためにフィラーに気をつけて修正しよう
スピーチでフィラーが生まれる3つの理由
スピーチトレーナー高津和彦さんは、その著書「スピーチや会話のえっーとがなくなる本」の中で、フィラーの原因は以下のようなものであると書いています(フィラーについて書かれている書籍の中では一番有名だと思われます)。
フィラーとは「心(感情・性格)」「思考」「声」を動力源としたメカニズム。この3つが同期し、安定して働いていればフィラーは出ないものの、このうちの1つにでも不具合が発生すれば、メカニズムに不均衡が生まれ、フィラーを発生させてしまう。
引用元:「スピーチや会話のえっーとがなくなる本」
確かにおっしゃっていることはその通りなんだろうと思います。
しかし本では学術的な記載が多く、偏差値の低い私にはちょっと理解が難しかったというのが感想です。
そこで小学生でもわかるようにかみ砕いて説明すると、フィラーは以下の3つが主な要因と考えられます。
1.次に話す内容が思い浮かばないから
人は常に考えながら話しています。でも次に言う言葉が思いつかないことはたびたび出てきます。
そんな時思わず出てくる言葉が「えー」や「あのー」です。
無意識にフィラーを言うことで、話をつなげようとしているのです。
2.考え中に沈黙になるのが怖いから
さらには聞き手の人数が多くなればなるほど、黙っている時間が気まずいと思うようになります。
そのためその沈黙を埋め合わせをするために「えー」と言ってしまうのです。
そのサービス精神が、かえって聞き手にとって不便になっています。
3.習慣化してもはや話すリズムになっている
そうなってくると、次に言う言葉に詰まっていなくても、言葉の合間に「えー」や「あのー」を使うことが習慣化されてしまいます。むしろそれを言わないと話すリズムまでつかめない人がいるくらいです。
そうなってしまうと直すのもちょっとやっかいです。
スピーチでフィラーをなくす6つの実践方法
昔、中学校の授業中に「あのー」を言うのが口癖になっている理科の先生がいました。
あまりにも言う回数が多すぎて、生徒も授業のことより「あのー」だけが気になってしまい、はたして50分間に何回言うのか?
勉強もそっちのけで「正の字」を書いてカウントするようになってしまいました。
やさしくていい先生だったのに、話し方がよくないから上手く伝わらなくて、みんなが言うことを聞かなかったことを覚えています。
それってとてももったいないですよね。
世間では、社会人になってから他人がスピーチや話し方を指摘してくれる事がなかなかありません。
自分で気づかない限り、口癖を正す機会はないのです。
ですから、そんなことに気づかずに一生懸命スピーチのテクニックを身につけたところで、効果がないばかりか相手が不快に感じていてはとてももったいないです。
フィラーをなくすことは地道な作業になりますが、時間をかけて取り組めば必ず直すことはできます。
以下フィラーをなくすための6つの実践方法をお伝えしましょう。
1.自分のクセを知る知るだけで進歩
冒頭にも触れましたが、まずはあなた自身がどんなしゃべり方をしているか知らなければいけません。
ボイスレコーダーやビデオカメラを使って、自分の話し方を聞いてみましょう。
その時の「えー」「あのー」を頻繁に使っていたら、ショックではなくむしろラッキーだと思ってください。
なぜって?
だってこれまでそのように話したことが早く気付けたんですから!
クセを知っただけでもまずは進歩のはじまりです。
私の場合、公式的なスピーチを録画して見ると「やはり」を連発していました。
少し耳障りだったので、直す努力をして克服しました。
2.話す一文一文を短くする
雄弁に話そうとすると、長文で話すことが格好いいと勘違いしてしまいます。
そうすると普段よりも考えながら話そうとするために、「えー」と次の言葉を探しながら話すことになります。
スピーチ時の一文は短くしてください。
そうすることでもっと聞き手に伝わりやすくなりますから。
3.沈黙に耐えてみる
でもそれだけではフィラーは必ず出てしまいます。
あなたは話しながら「あのー」と言う瞬間に気づくはずです。
その時に「ごくん!」とフィラーを飲み込んでください。
すると、聞き手が黙って次の言葉を待っていることに気が付くはずです。
ここでその沈黙を怖いと思うと「あのー」が出てしまいます。
ここが克服への分かれ道です。
沈黙を肌で感じながら、次の言葉を話し始めてください。そうすることで大きな変化が出てきます。
ファイラーを話さなければ、あなた自身で間(ま)を作れます。
かえって聞き手は、あなたの言うことを理解しやすくなります。
4.フィラーの代りに自分に合った接続詞を用意してみる
そうはいっても沈黙は怖いですよね。
そういう場合は、フィラーの代りに適切な「接続詞」を使いましょう。
たとえば「では」「さて」「それでは」「はい」などあなたが使いやすい接続詞を用意してみましょう。
「今日は、来月発売します新製品についてお伝えします。はい~、これがなかなか前評判の高いものでして、きっと売れると確信しています。はいっ、ではその商品はこちらです!」
これは実際に私の会社にいる人物が使っている例です。「はい」を連呼していますが、「えー」より100万倍マシです。しかも「はい」ということで言葉に勢いが生まれています。
5.ラジオを聞いてみよう
ラジオを聞く機会はありますか?
今やパソコンやスマホでラジオを聞くことができます。
ラジオではパーソナリティがマイクの前で一人でしゃべっていますが、その話し方はとても勉強になります。
ぜひお気に入りのDJを見つけてみてください。話し方の上手さに気づくだけでも、あなたのフィラーは改善されます。
6.成功事例を作ろう
あなたの勤務先では会議をするはずです。
その時に司会をする機会があればチャンスです。
会議の冒頭では、「え~、それでは定刻になりましたので、え~会議をはじめたいと思います。それではよろしくお願いします」という人がどれだけ多いことか!
参加者が雑談している中で、司会を始める第一声は少しばかり緊張もしますが、以下のように始めてみましょう。
ぴしっと決まります。
「さあ、よろしいでしょうか?定刻になりましたので会議をはじめます。ではよろしくお願いします」
このような短いスピーチでも成功事例を作っていけば、自信につながってきますよ。
まとめ
今回はスピーチでのフィラーについて、その原因と対処方法について書きました。
トレーニングというと大層になりますが、日々気をつけて実践することで確実にフィラーは改善されます。
たとえ時間がかかっても取り組むべき課題だと思います。
なんせ相手に不快な思いをさせることなく、あなたの言葉を伝えたいですもんね。
ちなみに、自己肯定の高い人は「えー」「あのー」を言わないそうです。
自分自身の伝えたい気持ちが強くなるほど、フィラーがなくなってくるのは確かでしょう。
そのレベルまですぐに到達する必要はないと思いますが、あまりにも頻繁にフィラーを言う習慣は改善しておいて損はありません。
日々の実践の中で取り入れていけばいいことです。