スピーチの話し方のコツってどこで学んだらいいかわかりませんよね。
テレビを見ていれば必ずコマーシャルを目にします。
その中でスピーチのコツをつかむのに大変参考になるものがあるんです。
何気ない日常生活でテレビを見ていても、たくさんのヒントが隠されています。
今回はCMの実例を紹介しながら、スピーチのコツを身につける方法についてお伝えしていきます。
スピーチの話し方のコツがつかめるCMがある
大阪に本社がある「大日本除虫菊」株式会社さんのコマーシャル「キンチョウ 虫コナーズ」シリーズは、ただ見ていて面白いだけでなく、スピーチの基本テクニックが多く隠されています。
虫コナーズ「初めてぶらさげた人」篇にはスピーチのコツが満載!
まずは下のURLを再生してみてください。
https://www.kincho.co.jp/cm/html/mushikonazu_muboubi/index.html
シュールな姉役を演じる女優「長澤まさみ」さんが弟役「仲野大賀」さんに関西弁で話しかける、なぜか目を奪われてしまうCMです。
以下全文書き下ろしてみました。
アクの強い姉と従順そうな弟のやりとりは、自然に視聴者を引き込んでいきます。太字部分は、姉が強調して話しています。
姉「この世界には、虫コナーズと虫コナーズやない、虫コナーズ”的”なものがあんねん」
弟「うん」←作業をしながら、姉は何を言いたいのかな?と返事をする
(姉は弟の隣に座り込んで)※1
姉「浜田さんのお宅は、ず~っと虫コナーズ”的”なもんをぶらさげてた」
弟「ふ~ん」←姉の話に引き込まれはじめる
姉「でも今年初めて、虫コナーズをぶら下げたっ」
弟「ほぉっ!」←完全に姉の話に引き込まれた
(遠くを見つめながら間をあけて)
姉「勝ったっ・・・」
弟「(すかさず)何に?」
ナレーション「どうせぶら下げるなら、キンチョウ虫コナーズ」
以上が30秒間のCMの内容です。
まず冒頭で気が付くのは、姉の話すスピードがとてもゆっくりしていることです。スピーチでは早口で話してしまう人が多いですが、これくらいのスピードであれば聞き手にも伝わりやすくなります。
CMでは会話をする相手がいますが、スピーチの時も聴衆を意識してこれくらいのスピードがいいのです。
次に姉は弟の横に座り込んで話しています(※1)。
スピーチやプレゼンをする際には、演台やマイクスタンドの前に固定されて、直立不動で動かない人がほとんどです。
しかしマイクを手に持って歩くなどの動きを加えることで、聴衆の注目を集めることができます。
注目されなければ、話す意欲も湧いてきませんよね。
会話の太字部分は姉が強調して語っています。
キーワードになる言葉は意識して話しましょう。
そして最後の決めセリフ「勝ったっ」の前には、CMにしては長い間をとっています。スピーチでも大事なことや伝えたいことを言う前には必ず間をあけましょう。
最初は沈黙が怖いかもしれません。しかしそれは話し手が感じるだけのこと。聴衆にとっては、「間」があることでよりインパクトのある伝わり方になるのです。
少々の「じらし」は必要になってきます。あなたも沈黙を恐れず間をとってみましょう。決してテレビのような放送事故にはなりませんから。
さらに姉の言葉は、一文一文がとても短いのがおわかりでしょう。
スピーチがうまくできない人の特徴は、長い文章を「、」で句切ってだらだらと話をします。
「。」を意識して言い切る習慣をつけましょう。
長澤さん扮する姉はちょっとへんてこな緑のワンピースを着ています。この服装と関西弁がマッチしており、従来の長澤まさみ像とは大きなギャップがあります。
やはり見た目は重要ですし、インパクトがあります。
スピーチでもあなたらしい服装でのぞんでください。
気をてらった格好は必要ありませんし、自分のお気に入りの服であればいいのです。
また方言も個性の一種です。よっぽどコンプレックスがなければそれを話す時にわざわざ直す必要はありません。
関西弁の好き好きはありますが、このCMが標準語であったなら、これほどまでのインパクトは出なかったのではないでしょうか。
(※裏話として、長澤まさみさんは静岡県磐田市の出身です。静岡県の方言は語尾に独特な表現があるものの、どちらかというと標準語と名古屋圏の中間といったところでしょうか。この撮影を機に関西弁の指導を受けて流暢にしゃべれるようになったそうです。)
また、彼女のお父さん「長澤和明」氏は、サッカーJリーグ「ジュビロ磐田」の初代監督でした。僕は長澤ファンではありませんが、サッカーが好きなのでとても親近感を持つようになりました。
最後に一番大切なことをいいます。
このCMの場合、弟のあいづち(会話)を取り除いたものが、ずばりスピーチになります。あいづちの部分はあえて間をあけて話してください。30秒間の商品プレゼンとしてまとまります。
あくまでも聞き手との双方向の対話を意識してみてください。
↓弟の会話を抜くとこのようなスピーチになります↓
「この世界には、虫コナーズと虫コナーズじゃない、虫コナーズ的なものがあります。(間をとって少し動く)
浜田さんのお宅は、ず~っと虫コナーズ”的”なものをぶら下げてました。(ここで間)
でも今年、虫コナーズをぶら下げた。(ここで間を長くとる)
勝ったっ・・・。
どうせぶら下げるなら、キンチョウ虫コナーズがおすすめです。」
何でもこのCMが生まれた背景には、虫コナーズの類似品を使っている人からキンチョウさんあてに「効き目がない!」とのクレームが多く寄せられていたのだそうです。
虫コナーズ”的”な商品ではなく、キンチョウの商品こそがオリジナルであるメッセージも込められているようです。
実に興味深いですね。
【続編】虫コナーズ「無防備」篇も感情を込めたスピーチのコツがつかめる
▼まずはCMを楽しんで見てください▼
https://www.kincho.co.jp/cm/html/mushikonazu_muboubi/index.html
このCMもまた、先ほどのスピーチのコツを思い浮かべながら見てみましょう。
この回では弟役「仲野大賀」さんの演技力も光っています。
また姉が「人間でいうたらおでこにパスワード書いて歩いているようなもんやで」と例えをうまく使って表現しています。
例えを用いることよって聞き手が理解しやすくなるのです。
このCMも長澤さんと仲野さんの姉弟のやり取りですが、弟の会話をなくせば立派なスピーチになります。
感情を込めたスピーチは、聞き手を惹きつけることができるんです
まとめ
今回はスピーチのコツをCMからご紹介してきました。
これら2つのCMを見ると、スピーチをする時の8つのコツを教えてくれます。まとめると以下のようになります。
- スピーチのスピードはゆっくりがいい
- 話し手が動きを加えることで注意喚起ができる(こちらの話を聞いてくれる)
- 大切な言葉は強調して話す
- 間をうまく使いましょう
- 語尾は「。」で言い切る。句読点を意識する
- 服装は着慣れたものを。そして自分らしいものを!
- 言葉のクセも個性のうちです。無理に直そうと思ったらかえって話せなくなります
- 聞き手にわかりやすい「例え」を使いましょう
もう一度CM動画を見て8つのポイントをおさらいをしてください。
ぐっと理解が深まりますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。