こんにちは、スピーチ講師の森川じゅいちです。
あなたの勤務先で他の社員のスピーチやプレゼンを聞く機会があると思います。
その時にしゃべる人の語尾がハッキリと聞き取りにくくて、何を言ってるのかよく聞き取れずに理解できなかった経験はありませんか?
せっかくいいことを言っていても、語尾がハッキリしないと何を言いたいのかわからないのです。
そしてスピーチの評価自体も下がってしまいます。
そこで今回はスピーチの語尾について書くことにしました。
スピーチの語尾をどのようにしたらいいかもわかってくるので、スピーチの説得力が変わってきますよ。
スピーチではなぜ語尾に気をつけないといけないのか?
日本語は語尾で意味が変わる
「僕はあなたのことが〇×△□※・・・」
このように語尾がハッキリしないと何を言いたいのかわかりません。
それは「僕はあなたのことが好きです」と言いたいのか、それとも「僕はあなたのことが好きじゃないです」なのか?
そうなんです!
日本語は重要なことが最後に表現されるので、語尾までしっかり聞いていないと意味が分からない言語です。
英語だったら主語(S)の次に必ず動詞(V)が来るので結論がすぐにわかるのですが、日本語は語尾に動詞が来ます。
なので最後で全く意味が変わってくるんです。
まずは、話し手の立場として日本語の特性をよく理解する必要があります。
いちいち相手から聞き返されなくなる
これはスピーチに限ったことではないのですが、あなたは人と会話をしていて相手から聞き返されることはありませんか?
その頻度が多い人は語尾がダメなケースが多いです。
たいていの人は自分の話し方をいちいち録音してチェックしているわけではありません。
だから、語尾がいいのか悪いのかを自己判断することができないんです。
ですから一つのバロメーターとして、話した後に聞き返されることが多い人は、語尾に注意しなきゃいけないサインです。
語尾がハッキリと聞き手に伝わるようになれば聞き返されることは少なくなります。
わかりやすいスピーチになる
語尾をしっかりすれば話す印象が変わります。
言い換えれば、語尾さえしっかりすればあなたのスピーチが聞き手にわかりやすく伝わり、相手にも刺さるようになります。
せっかくのスピーチです。
事前にしっかりネタを考えて準備して臨む人も多いはず。
その努力を無駄にしないためにも、語尾に気をつけるだけで「伝わるスピーチ」になります。
ダメなスピーチの語尾の例を紹介
さあ、ではどんな語尾がスピーチではNGなのでしょうか?
これを読めば「あっ、あの人の話し方がこれだ!」と気づくはず。
そしてそうなっちゃいけないなと自分への戒め(いましめ)にもなります。
語尾が聞き取りにくい、もしくは消える
一番多くみられる話し方の例は、語尾に行くにつれて声のトーンが弱々しくなってしまい聞き取りにくいパターンです。
声が出ているならまだしも、語尾が全く聞こえなくなる人もいるくらいです。
蚊の鳴くような声になっていまうのです。
そもそも語尾がない
話す一文の長さはいったいどれくらいが適切なのでしょうか?
天下のNHKでは、ニュースを読む一文の長さを50字以内にまとめているそうです。
50文字以上に一文を長くしてしまうと、視聴者に伝わりにくいのだといいます。
あなたの会社にこんな風に話す人はいませんか?
「今日の議題についてですが、もともと準備してメールしていた内容なんですが、かなり時間がかかりそうなんで、ちょっとテーマを絞って取り上げたいと思っていまして、みなさんどうでしょうか?」(87文字)
このような長い一文はピントがぼけてしまい何が言いたいか伝わりません。
語尾が伸びる
以下のように語尾が伸ばして話す人いますよね。
先ほどの一文が長い例にアレンジを加えてみました。
「今日の議題についてなんですがぁ~、もともと準備してメールしていた内容なんですがぁ~、かなり時間がかかりそうなんでぇ~、ちょっとテーマを絞って取り上げたいと思いましてぇ~、みなさんいかがですかぁ~?」
このような話し方をどう思いますか?
いくら相手がかわいい女子高生であっても、無性に腹が立つかもしれません(笑)
スピーチを聞いてもらうために語尾を改善する方法
では、あなたのスピーチを相手にしっかり聞いてもらうために語尾はどうしたらいいのでしょうか?
簡単なことを言えば、先ほど紹介したダメな例の逆をしたらいいわけです。
もう少し詳しく説明してみましょう。
一文を短く、同じボリュームで話す
先ほど紹介した「NHK50文字方式」ですが、原稿もなく即興で話す場合は一文の文字数をいちいちカウントすることはできません。
ですからこれは「肌感覚」になってしまいますが、極力一文を短く話そうと心がけてください。
抑揚について気が回ればいいのですが、なかなか難しいかもしれません。
ですからまずは、語尾に向けてフェードアウトするのではなく、一文を同じボリュームで話すことを心がけてみてください。
これだけでも聞き手にしっかり伝わるようになります。
同じ語尾を3回連続させない
一文を短くできるようになれば次に気を使いたいのは、語尾の表現方法です。
同じ語尾を続けるのは2回までと心得ましょう。
以下の例だとどう感じますか?
今日は来月の売上のための大事な会議になります。
これが目標達成に大きく直結します。
ではさっそく始めたいと思います。
この話し方の例では、「ます」を3連続で使用しており、聞いている側はちょっと耳障りですよね。
それだったら、以下のように変えれば聞き手にも印象が大きく変わります。
今日は来月の売上のための大事な会議です。
これが目標達成に大きく直結します。
ではさっそく始めましょう。
語尾はゆっくり、ていねい、はっきりと
人は話の内容に自信がない時ほど、早口になったりして語尾もはっきりしません。
スピーチは即興を除いてそのほとんどが事前に準備ができる行為です。
ですからまずは、スピーチの話題をしっかり探して話す内容をまとめる必要があります。
その上で話す時には語尾に行くほどゆっくりとていねいに話すことを心がけましょう。
語尾は句点「。」ではっきりと言い切ることが必要です。
先ほど紹介した悪い例のように句点「。」がなく、読点「、」・「、」・「、」を何度もつないで話してしまうと、何を言っているのか伝わらなくなります。
語尾をの時はしっかりとアイコンタクトをとる
最後のポイントは「アイコンタクト」です。
あなたのまわりにこんなスピーカーはいませんか?
「ずっと原稿を見ながら話している人。」
「ずっとスクリーンやパワポの画面を見ながら話している人。」
これだと独り言に終わってしまいます。
スピーチやプレゼンは、聞き手がいるからこそ成り立つ行為です。
せめて一文の終わりである語尾では、聞き手に向かってアイコンタクトをとってみましょう。
それによって聞き手の理解度を肌で感じることができますし、何よりもあなたの話に説得力が生まれるようになります。
まとめ
今回はスピーチでは語尾の大切であることについて書いてきました。
あらためてあなたにお聞きします。
何のために語尾に注意しなければならないのでしょうか?
それはすべて聞き手にわかりやすく伝えるため。
そしてあなたのスピーチをしっかりと聞いてもらうためです。
ぜひこれを意識して話してみましょう。
聞き手の反応が変わってきますよ。