こんにちは、スピーチコーチの森川じゅいちです。
さてスピーチ塾を開催しているといろんな生徒さんが来られます。
なかでも先日参加されたSさん(50代男性)は、朝礼でスピーチをする時になぜだか呼吸がとても苦しくなるとおっしゃっていました。
これまでは周りの人から「スピーチがうまいですね」と言われていたのに、ちょっと前に転職してからそのような症状が出るようになったそうです。
この記事では、スピーチで緊張してしまって呼吸が苦しくなってしまう原因とその対処方法について書きました。
もともと緊張しなかった人が、働く環境の変化によってプレッシャーを感じるようになってあがってしまうことはしばしばあることです。
キャリアを積んで40代以上にもなると、仕事のスキルも上がり会社から求められる水準も高くなります。
さあ、その対処法を知るだけでも楽になってきます。
スピーチ時に苦しくなる原因とは
苦しくなるのはズバリ「過呼吸」のためです。
いつも以上に緊張してしまって無意識に呼吸が浅く早くなるのが主な原因です。
スピーチでは緊張するのが当たり前なんですが、そうなると誰でも交感神経が活発になります。
これはすべての人間が持つ「本能」ですから治せっこありません。
ですがここでポイントになるのは、緊張しているため吸った息を止めたまま話してしまうってことです。
そりゃよけいに息苦しくもなりますよね。
しかも当然息苦しくなると「息を吸う」ことばかりに意識がいってしまい、さらにもっと息を吸い込もうとします。
でも肺の中は空気でいっぱいなので、それ以上は吸い込めません。
まずは過呼吸とは息の吸いすぎであることを理解しましょう。
その状態で息を止めたまま話をしようとするから苦しくなります。
スピーチで息が苦しくなる時の対処法
過呼吸が息の吸いすぎであることが分かれば、まずは肺に入ったパンパンの空気を外に出してあげればいい。
その出し方はため息をつくように、ゆっくり時間かけて吐いてみてください。
イメージとしては「は行」で「はぁ~、ひぃ~、ふぅ~、へぇ~、ほぉ~」と大きく声を出してみると効果があります。
声と一緒に息を吐いていくと少しずつ落ちついてくるはずです。
息を完全に出し切ったところで、鼻から息を吸ってお腹を膨らましてみてください。
そしてもう一度口からため息をつくように吐いていくのです。
これが「腹式深呼吸」です。
3セットくらい繰り返すと、だいぶ気持ちとともに呼吸も収まってきます。
スピーチで苦しくならない心構えとは
この記事の冒頭では長年キャリアを積んだSさんが、転職したことによって会社の朝礼で緊張するようになってしまったと書きました。
これは職場の人たちに自分のことをもっと良く見せようとする意識が強く働くからです。
しかも「完璧にこなせねばならない」というプレッシャーを自分に課してしまっています。
その気持ち、とてもよくわかります。
でも、100点満点のスピーチなんてプロでさえできっこありません。
極端なことを言ってしまえば、スピーチなんて60点の出来で合格点です。
完璧主義は捨てて、あなたが話したいことが相手に伝われば「よし」としましょう。
聞き手から「すごいですね」「スピーチが上手ですね」と思われたいがあまり、より一層緊張する環境を自分で作り上げてしまっている以上、スピーチで息苦しさがなくなることはないでしょう。
これは何もSさんだけに当てはまる事例ではありません。
先日スピーチ塾に来られた50代の女性Yさんも同じようなことをおっしゃっていました。
彼女は数年前に友人が経営する会社に誘われて転職したのですが、当初は何も問題はなかったそうです。
しかし働く期間が経つにつれ、仕事のやり方や価値観で友人と考え方の違いを感じるようになりました。
少しずつ友人との関係もぎくしゃくしたといいます。
しかもYさんは部長というポストだっただけに、経営者との関係に悩みながらも、まわりの部下に対してしっかりやらねばと板挟みの状態になってしまったのです。
当然ながら、仕事でプレゼンする時にも実力以上に自分を良く見せたい気持ちが高くなってうまくいきません。
でもある時、とある呼吸法を知ってから、必要以上に背伸びをしなくてもいい、不得意な部分はできる子に任せればそれでうまくいくと思えるようになって、肩の力も抜けたそうです。
ありのままの自分を受け入れ入れられ、相手に対して自然体で接せられるようになったのでした。
その気になる呼吸法は次の章で紹介します。
呼吸法はスピーチで苦しくなるのにいいらしい
あなたは「マインドフルネス瞑想」という呼吸法を聞いたことはあるでしょうか?
前述したYさんは、この方法を取り入れて職場の環境を改善し、自分を必要以上に良く見せることがなくなったそうです。
ホリスティックヘルス公認コーチである「有屋田佳代」さんは、マインドフルネスについてホームページで以下のように説明しています。
そもそもマインドフルネスを一言で表すと「気づき(Awareness)」。
詳しく解説すると「外側に向いている意識を自分に向け、何にもとらわれない状態で、ただ自分の内側を観察する」となります。マインドフルネスは、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士が、「マインドフルネス瞑想」を医療分野に取り入れたことがきっかけで世界から注目されるようになりました。そのあと、一般企業であるGoogleやアップルがマインドフルネス瞑想を取り入れたことでさらに話題に。
実践するのに費用や道具は必要なく、いつでもどこでも行えることから、誰でも簡単に始めることができます。
引用元:からだにいいこと
つまりは、今置かれている自分の状態がどうなっているかを呼吸によって感じることができるという瞑想法です。
それにより不安や怒り、そしてストレスが軽減されるといった効果があるそうです。
インターネットやYOUTUBEを見てみると、マインドフルネスについていろんな情報を知ることができます。
興味のある人は、そのような呼吸法を身につけることができれば、スピーチに対する心構えも変わってくるに違いありません。
まとめ
さて今回はスピーチで息が苦しくなってしまう原因と対処法、そして心構えについて書いてきました。
まずは、あなたは緊張を「0=ゼロ」にしてしまおうと思わないことが肝要です。
人間の本能は決して変えられないので・・・。
しかし、緊張のあまり過呼吸になってしまうと苦しいので、しっかりと腹式深呼吸をして肺にいっぱいになった空気を外に出して落ちつかせてください。
それだけでもかなり落ち着いてきます。
またスピーチは心構えが9割と思ってください。
そう、メンタル部分が重要なのです。
人前で話す時は格好いい姿を見せようとする気持ちをぐっと押さえて、60点の出来栄えで合格点としましょう。
職場の人たちは日頃のあなたの働く姿をちゃんと見てくれていますよ。
普段のままのあなたで話せば十分です。
そのためにもマインドフルネス瞑想を試してみるのも一案だと思います。