企業では決算月の翌月から新しい期がスタートします。
新しいスタートにあたって、全社ではもちろんのこと事業部単位では傘下の社員を集めて新しい期の方針説明を行います。
管理職にもなると新たな一年間の方針と行動施策を発表せねばなりません。
スピーチを逃げていた人にとっても緊張してしまう場面です。
しかし実にもったいない会に終わってしまっていると感じるのは僕だけでしょうか?
そんなことを毎年感じています。
せめて出席したメンバーのとって印象に残る会にしたいですよね。
ということで、今回は管理職のために方針発表スピーチをうまく乗り切る方法をお伝えします。
期初の方針説明プレゼンは社員の心を動かすべし
もちろん方針説明会が不要であるとは言っていません。
まずは組織図等を見せられて全体像を把握することができます。
そして何よりも社員が進むベクトルを共通目的に向かわせることができるので大事な行事です。
しかし会が終わって外に出た時には、参加者たちは聞いた内容のほとんどが記憶に残っていないのではないでしょうか?
会社によっては「第○○期 方針説明書」なる仰々しい冊子を製本します。印刷屋さんに頼めばコストもかかっているでしょう。しかし、残念ながら渡されてから後日、読み返している人は実に少ないのです。
つまりはその日限りのパフォーマンスツールと化してしまっているわけですよ。
「印刷代もかかる上に、そもそも人の記憶に残っていない」、それならば一同に集まってやる必要がないのでは?というのが僕の持論です。
それであれば方針発表者が、何をすべきか箇条書きではなくわかりやすく文章化する。それを全員宛にe-mailで送って期限を決めて読ませる。それであれば全員を集めてみんなを拘束する「時間泥棒」にもなりません。
ここでいう文章化とは、作成者が部下にしっかり理解できるようにわかりやすく手紙を書くイメージです。
しかし現実は、みんな集まって方針説明会を行うわけですよ(三蜜なのに・・・)。
しかも方針を説明した管理職は「今期の方針は伝えたからな」と自己満足してるけど、部下の頭には記憶として残っていないわけです。
つまりは伝えているけど伝わっていない。
これは発表者があがり症であろうとなかろうと改善しないといけない課題なのです。
時間に適したパワポを作る3つのコツ
僕はかれこれ10年以上事業部での方針説明をしています。
そこでは全社方針をもとに行動施策を箇条書きにして、行間は口頭で説明をしています。
しかしその場では皆に伝わった気でいても、すぐに忘れられてしまうのは時間の無駄だな、と考えるようになりました。
せっかく一年間の方針を発表するわけですから、せめてインパクトのあるものにしようと思ったわけです。
まず、プロジェクターに写して見せる資料は、パワーポイントでA4用紙ヨコ1枚にまとめます。
別にワードやエクセルでも悪くはないのですが、それだと基本的にタテ使いにになるために、全画面表示すると字が小さくなってしまい後ろの席からは何が書いてあるかさっぱり見えません。
拡大したらいいだけの話ですが、いちいち下にスクロールしなければならないので、全体像が見えません。
パソコンの画面操作をすることなく、まずは話すことだけに集中したいものです。
管理職によっては、方針書を2枚も3枚も作って見せる人がいますが、聞き手にとってみれば、そんな大量の情報を頭に入れることは不可能です。
しかもどんどん下にスクロールしていき、いつまで続くんだろうかとうんざりしてしまうのです。
そんな時、スピーチの上手い役員の方針書を参考にすればわかります。文字数は少なく、1枚にとてもシンプルにまとめているのです。
▼実際に話す内容を決めたら、以下のように「箇条書き」で「A4用紙ヨコ1枚」にまとめるイメージです。
文書ではなく箇条書きにすることが大切です。
〇×期 方針書
全社方針:
・○○〇〇〇〇〇〇〇〇〇
事業部方針:
①〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
②△△△△△△△△△△
具体的施策:
①〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
②△△△△△△△△△△
③□□□□□□□□□□□□□□□
ココがポイント
箇条書きでA4用紙1枚にまとめる!スクロールする必要のないように!
印象に残るポイント1 「項目は絞ったうえで具体的に話す」
ここで具体的施策をご丁寧に10個以上列記する人がいますが、そんなにたくさんの内容をそもそも1年間で達成できるでしょうか?
理想を掲げることは結構ですが、そんなにたくさんの項目をクリアできるのであれば、今ごろ超優良黒字会社になっているはずでしょう。
項目は最小限5つ以内に絞ってシンプルに伝えたほうが聞き手の頭に残ります。
その上で、それぞれの内容に具体性を持たせてください。
印象に残るポイント2 「公然と原稿を見て話せる」
あがり症の人にとって緊張することには変わりがありません。
しかし方針説明ではプロジェクターを使ったカンペがあるので、それを見ながら安心してスピーチすることができます。
箇条書きに書いた内容をもとに話していけばいいのですが、その際頭が真っ白になって言葉が出ない時はあります。
そのような事態のために、話す内容を書いたスピーチ原稿を手に持っておけば「お守り替わり」にもなるんです。
プレゼンは、朝礼スピーチと違って原稿を見ても一向にかまいません。
温床に残るポイント3 「キーワードは繰り返し話す」
ここまで話すことができれば最後の仕上げです。
あなたのプレゼンが終わった瞬間からみんなの記憶はどんどん薄れていきます。
そのためにも抽象的でいいので、日々何をすべきかまとめの言葉を用意しましょう。
今年僕は方針説明でこんなことを言いました。
「あれしろこれしろと上から言われて受け身になっていたら苦痛しかない。新しいことをスタートするにはどんな時も苦痛が伴う。
それであれば、毎日ワクワクしていい商品を企画しよう。ワクワクする売り方で得意先に伝え、ワクワクする商品をお客さんに届けよう。
1年ワクワクすればきっと何かが変わる!」
ワクワクを何度も連呼しました。
プレゼンの終わり方も大切!時には目の前のニンジンも必要
1年間のスタートです。会社上層部の眠たい話にあくびを押さえながら聞くのは大変苦痛です。
ロケットスタートを切るためにも何か起爆剤が必要になるでしょう。
そんな時みんなが喜ぶのはやっぱり「お金」です。
これから1年終えてみて「目標を達成した暁には、全員に○○万円を渡す!」くらいのエサは必要でしょう。
無謀な目標であれば端からあきらめムードになってしまいますが、ちょっと無理して頑張ればいけるかも?そんな目標設定をしてもらいたいものです。
私事ですが、以前小売業で働いていた時に「全店年間で黒字化したら、全員でグアム旅行招待!」って公約したら、そりゃもう盛り上がったのなんのって!
見事その年に黒字化して、全員でグアム旅行に行きました。
そりゃその時は感無量でしたよ!翌年、そんな公約はなかったですが、黒字を続けることができました。目標を達成することが組織を強くしていくのです。
【まとめ】相手に語りかけるプレゼンを意識しよう
管理職が期初に行う方針説明は、いわば配下の社員に対するプレゼンテーションです。
方針書を文章化してしまうと、あなたの説明の際に社員は勝手に違うところを読み始め、あなたの話が耳に入りません。
内容は簡潔に箇条書きにして、補足を「口頭」で行うことが成功のカギになります。
期初のスタートに大切な説明会です。1年間の目標を達成するためにも「伝わる」プレゼンを目指してくださいね。
その際に最も意識しなければいけないのは、目の前の聞き手です。
相手に語りかけることが印象に残るプレゼンにつながります。