スピーチの組み立ての作り方ってとても悩みますよね。
それはそもそも日本人は、子供のころから独特の会話表現してきました。
「あんな~今日な、学校でな、友達のけんちゃんが昼休みに遊んでいたら、鉄棒から落ちてな、泣いちゃったんだよ」。
といった具合に「いつ、どこで、だれが、どうした」の起承転結の順番で話すことを教えられてきましたよね。
残念なことにこの表現方法だと、結論(どうなったか?)は最後まで聞かないとわかりません。
日本語って英語とは違って、基本的に結論が後回しにされる言語なんです。
それが日常会話であれば、聞き手である母親が「けんちゃんはケガしなかったの?」と言うことで会話のキャッチボールが続けられますが、一人で話すスピーチではそうはいきません。
ですからこの順番で思いつくままスピーチしてしまうと、聞き手からは「この人は何が言いたいんだろう」、「イライラするな~」と思われる恐れがあるわけです。
特にビジネスシーンにおいては、相手に速く的確に伝える必要があるので、この「いつ、どこで、だれが、どうした」の順番をやめることです。
つまりそのための解決法が、「PREP(プレップ)法」を取り入れること!
あなたがこの方法を取り入れることで、スピーチで簡単に相手に話が伝わるようになります。
この記事ではPREP法の有無で例文もあげて、どちらが効果的か目でわかります。
スピーチで起承転結をやめたほうが良い理由
私たちは小・中学校の時から文章の構成として「起承転結」のストーリー展開を教えられてきました。
これは中国の漢語による影響があります。
一方で起承転結は、論理的な文章を書ける構成ではないと言われているんです。
実際に高崎経済大学の「高松正毅教授」は、起承転結について以下のように述べています。
「こと説得を目的とする文章を作成するにあたっては極めて不適切で、ほとんど使いものにならない」
引用元:ウィキペディア
そう、教授の受け売りではありませんが、起承転結で話すことは説得する時には向いてないんです!
スピーチとは人に説明し納得してもらう行為です。
ですからまどろっこしい話の仕方では聞き手に響かないんです。
スピーチで最適な方法はPREP法
じゃあどうしたらいいでしょう?
スピーチがうまくできるようになるためにネットであれこれ検索をしていると、「PREP法」という言葉がヒットしたりします。
何だその方法?
見ただけで難しそうな方法なので思わず敬遠してしまいますよね。
英文字にされると難しく感じますが「プレップ法」と読み、とてもシンプルな考え方です。
今回はPREP法とはいったい何なのか?また、この方法は本当に口下手のスピーチに役立つのかについて触れています。
結論から言って、その方法はとても簡単で効果があるのですぐにでも取り入れることをおススメします。
すなわち、ビジネスでは昔から馴染みのある起承転結の順番で話すことを封印しましょう。
PREPって仰々しい表現をしていますが、簡単な英単語の頭文字の略です。
ウィキペディアでは以下のように説明しています。
PREP法における「PREP」とは以下の
P=Point(結論)
R=Reason(理由)
E=Example(事例、具体例)
P=Point(結論を繰り返す)の頭文字を取っている。
最初に結論を伝え、次にその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示するストーリーを展開する。
引用元:ウィキペディア
すべて中学で習う英単語ですから、何となく意味はわかったと思います。
「①結論をまず言って→②その理由を述べる→③聞き手に納得できるように具体例を挙げる→④最後にもう一度結論で締める」
要は、スピーチをする時にこの順番で話せばいい、という構成のつくり方がPREP法なのです。
実際に文例を挙げてスピーチの徹底比較
以下は、PREP法を使わないでダラダラと話してしまう例とPREP法を使った例を挙げています。
あなたはこの二つを読み比べてどう思いますか?
PREP法を使わないでスピーチする実例
PREP法を使わない例文
みなさんは休日に何をして過ごしていますか?
ウィルス蔓延でどこにも行けず、私は家でだらだらとテレビを見てしまいます。それだけならいいのですが、ついつい家にあるお菓子を口にしながらお酒を飲んでしまい、気づけば5キロも太ってしまいました。
あ~、こりゃいかんいかん。
そこでお酒を飲みながら何かを食べるのをやめて、アイロンをかけながら見たりしたのですが、一向に減る気配すらありません。
ある時インターネットを見ていたら評価のいい商品を見つけ、9,000円と安かったので思わず買ってしまいました。
今日はその商品を紹介します。
「プルプルシェイパー・ゼロ」という体重計ぐらいのサイズの振動マシンです。テレビを見ながらたった10分その機械に乗るだけです。
スイッチを入れると結構な振動が体全体に伝わり、プルプル贅肉が揺れて効いている気がします。インナーマッスルにもいいんじゃないかなぁ。
2週間使った結果、なんと体重が減り始めました。毎日手軽に使えるのでこれからも続けていきたいと思います。
このスピーチ例は、特に女性に多く見られるパターンです。
「いつ・どこで・だれが・どうした(どうなった)」という順番で話すスピーチです。
ダラダラと思いつくままに話してしまい、聞いているほうは忙しい朝だと余計にイライラしてしまいます。主題が何なのかわからないと頭にすら入ってきません。
では、上記の内容をPREP法を使って表現するとどうなるでしょうか?
より構成を分かりやすくするためにテンプレート型にしています。
PREP法を使ってスピーチする実例
PREP法を使った例文
P(結論)
今日は家で気軽に使えて効果のあるフィットネス機械を紹介します。その名も「プルプルシェーパー・ゼロ」という商品です。
R(理由)
休日でも外出できず、家でゴロゴロ。お酒を飲みながらついついお菓子をたくさん食べてしまい、気づけば体重も増えてしまった!
そんなことはありませんか?
じつはこの商品を使えば、気軽にダイエットできる3つのおすすめ理由があるんです。
E(事例・具体例)
1つ目は、運動時間が10分間ととても短い点です。スイッチを入れて体重計ほどの大きさの機械に立っているだけで、テレビを見ながらでも運動が可能です。
2つ目は、強い振動が体全体に伝わり、贅肉がプルプル揺れてその効果が実感できます。これが病みつきになる、とても気持ちいい使用感なんです。
3つ目は、何といっても体重が減りました!体脂肪率も減ったのでインナーマッスルにも効いているんじゃないかな?
P(結論)
今日は自宅で簡単にエクササイズできる「プルプルシェーパー・ゼロ」という商品を紹介しました。
テレビを見ながら気軽にシェイプアップしてみませんか?インターネットで購入することができますよ。価格は9,000円。1年使えば、1日わずか25円。そう考えるとお安い買い物です。
ぜひこの感動を体感してください!
少々某テレビショッピングのノリになってしまいましたが、PREP法のテンプレートに沿ってスピーチをすれば、聞き手の頭にもスッと入ってきますよね。
しかもこんな風に話されたらその商品に興味を持って「欲しい!」と言われるかもしれません。
そうなれば逆にしめたもんです。
聞き手があなたの話に興味を持ってくれることが、緊張しいを克服してくれます。
極度に緊張してしまう人は、自分が「他人にどう見られているか」と気になることで起こります。逆に「他人を見てやろう」とすることが最速の克服法です。
ですから、聞き手があなたの話を聞いてくれる態度を示してくれることが安心につながり、最良の”薬”になるわけです。
プレップ法を取り入れることは、すぐにできます。
ですから次に話す時にはぜひチャレンジしてみましょう。
PREP法を使うメリットとデメリット
プレップ法はビジネスシーンにおいてとてもシンプルで効果のある話し方です。
型にはめて話せば要点がまとまるので、相手にも聞いてもらいやすくなり、説得力も増すことができます。
ですから口ベタでスピーチを上達したい人にはぜひ取り入れてほしい方法です。
このようにいいことづくめに思えるプレップ法ですが、当然ながらデメリットもあります。
それは、その型ゆえに「押しの強い表現に聞こえる」ことがあげられるでしょう。
聞き手からは主張が強く感じることがあることがあるかもしれません。
また、結論と理由を先に話してしまうので、そのあとに具体例を挙げても、聞き手には「おまけ」のように感じてしまうこともあります。
さらにはスピーチマスターの方々は、あまりプレップ法を使って話しません。
なぜなら、彼らはドラマチックにスピーチの構成を作っているので、聞き手にとっては早く結論を知りたいと、焦らしのテクニックを使っているからです。
たとえるならサスペンスドラマのような筋書き使って話しているので、どんどん視聴者を次の展開に引き込んでいく方法で話しているからです。
でも、まずは人前で堂々と話して相手から納得してもらうことが目的ですから、物語風に話すのは次のステップで充分じゃないでしょうか。
ココがポイント
PREP法のデメリットを理解した上で、まずはビジネスシーンで使ってみよう。相手に伝われば自信につながる!
PREP法のアレンジ(SDS法とは違うの?)
スピーチの構成を考えるうえで色々と調べていくと、PREP法に似たものに「SDS法」というものがあります。
「SDS法」とは、「Summary(要点)」→「Details(詳細)」→「Summary(要点)」の順に話を展開していくフレームワークのこと。
文章やプレゼンテーションなどにおいて、聞き手・読み手の理解を促したいときに有効な表現手法です。
類似のフレームワークにPREP法やDESC法などがありますが、自己紹介やスピーチなどでSDS法は最も汎用性が高く、日常生活からビジネスシーンまで幅広い用途で使うことができます。
参照元:健康経営
こちらも英語にすると難しそうですが、英単語の頭文字を取っただけです。
SDS法もスピーチをするうえで基本的なテンプレートになります。3分構成なのでとてもシンプルです。
PREP法はSDS法の「D(詳細)」の部分をより突っ込んで分解した方法と言っていいでしょう。
最終的には、基本的にどちらも考え方は同じですね。
結論を先に述べて本題を話し、最後にもう一度結論で締める話法です。
こちらもぜひおすすめします。
まとめ
今回はスピ―チでは起承転結を使わず、PREP法がいいという事について書きました。
もう一度、スピーチ構成のつくり方をおさらいします。
ココがポイント
P=POINT(結論をいう)
R=REASON(理由をいう)
E=EXAMPLE(具体例を出す)
P=POINT(もう一度結論をいう)
ここまで読んでいただいて気づいた方もいらっしゃるかと思います。
これってスピーチだけでなく上司への報告をする時にも使えませんか?
上司はあなたが思う以上に忙しかったりするわけです。そんな時に部下にダラダラと報告されてしまうとイライラしてしまい「もっと的確に伝えろ!」と言われかねません。
日頃の業務時間内でPREP法を使ってスピーチのトレーニングができてしまうわけです。
さあ、明日からとは言わず今日の業務からぜひ取り入れてみてください。
上司への報告が上手くなると、スピーチ力もアップします。
日常業務のコミュニケーションにも役立ってくるんです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ココがポイント
【事例付】スピーチのタイトルの付け方はどうする?
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