こんにちは、スピーチ講師の森川じゅいちです。
長年、さまざまな人のスピーチを見てきましたが、口下手で緊張してしまう人ほど話しながらジェスチャーをすることがほとんどありません。
どうしても意識が体の上の方に行ってしまい、まさに「浮ついた状態」になります。
ここはへその下あたりにぐっと重心を落としたいところです。
そのためにもジェスチャーは必要になってきます。
緊張を解いて聞き手に思いを伝えるためにもジェスチャーを取り入れたいもんです。
ということで今回は「簡単でしかもすぐにとり入れられるジェスチャー5例」を紹介していきます。
これを取り入れることであなたのスピーチも変わってくるんです。
スピーチに取り入れるべきジェスチャーは5つ
これから紹介する5つのジェスチャーは、そんなにオーバーリアクションではないため、恥ずかしがらずに取り入れることができるでしょう。
1.手の内を見せる
手の内を見せるとは、「心中の思いや考えを明かす」という意味です。
スピーチにおいて一番大切なことは、あなたの思いを伝え聞き手に理解してもらうことです。
あなたにとってのもっぱらの興味は、相手に伝える以前に自分の悩みを解決できるか?、にほかなりません。
手の内の見せるジェスチャーをすれば、緊張を克服するのに効果があるのでしょうか?
2017年に「関西大学大学院心理学研究科・花王株式会社感性科学研究所」が「手の内を見せるとオープンになるか」という実験結果を公表しています。
これによると「手の内をさらした人は、手の外をさらした人よりも気分の気楽さが増し、広い意味で自己が開放的になる」とレポートしています。
また「”安静・リラックス”、”幸福・満足”が増加する」とも示唆しているのです。
ですからスピーチ中に手の内(ひら)を聞き手に見せることで、不安から来るスピーチ嫌いを克服するのにも役立ちます。
スピーチに悩んでいる人の多くは、人前に立つと体が硬直して上半身に力が入っているのに気づくでしょう。
直立不動になってしまい、手は「気をつけ」の姿勢をとりがちです。
実際にやってみるとわかるのですが、手の平を外側に向けて立つだけで肩の力が抜けるのを実感することができます。
気の合う仲間たちとワイワイ話をする時には、相手に手の内を見せていることが多いです。
リラックスしている時は、意外にもジェスチャーしている自分に気づくでしょう。
手をうまく使うことで、緊張感がほぐれるのであれば使わない手はありません。
次にスピーチする時は、手のうちを明かしてみませんか?
2.数字を示す時の手の使い方
スピーチで相手にイメージを伝える時には、数字を使うと効果的です。
具体的に例をあげると「この敷地面積は、東京ドームのなんと4個分の広さがあるんです」とか、「夏の甲子園大会は、なんと5年連続出場です」という表現になります。
その時は視覚に訴えると聞き手の頭に残りやすくなるので、必ず指を使って数を示してみましょう。
手は肩より上に挙げてください。
そうすれば後ろの人からもしっかり見えますので。
3.スケールを示す時
営業マンが「売上は右肩あがりで、絶好調です」という時は、手のひらを下に向けて、下から斜め上に向かって動かせばいいです。
一方、マーケッターが「ライバルとのシェアは、ほんのわずかの差です」と表現する時は、人差指と親指で1cmくらいのスキマを作るしぐさをします。
またあなたが趣味の話題をスピーチするのであれば、「こんなに大きな魚を釣りました」と手を広げて大きさを表すのにも効果的です。
聞き手の頭の中に映像を作るイメージでやってみましょう。
スケールを伝えることで聞き手には映像としてイメージできるのです。
4.手を胸に置く
スピーチは、個人的なエピソードを伝えることが多いものです。
その時にはそっと胸に手を当てて話してみましょう。
心の内を話す、感情にかかわる話題を話す時にも効果的です。
これは心が痛む話をしたときはもちろんですが、非常に大事なことを言う時にこそ効果があります。
一見女性っぽいしぐさにも感じますが、サッカー日本代表が「君が代」を歌う時の姿を想像していただければわかるように、男性にも使えるジェスチャーです。
5.片手を前に出す
これもスピーチで最も大事なこと、伝えたいことを強調する時に使うジェスチャーです。
ビジネスパーソンが得意先での商談時において、”これを売り込みたい”、”ぜひおすすめです”と強調する時にも使えるでしょう。
力強く片手を前に出しましょう。
このジェスチャーは、この場面で使おうと事前に考えてもいいのですが、スピーチ中にあなたの伝えたい気持ちが自然に手の動きに表れるのが理想的です。
【参考】ジャパネットタカタMCのジェスチャーはお手本になる
テレビでジャパネットタカタの番組に思わず見入ってしまった人も多いのではないでしょうか?
MCを務める「塚本慎太郎」さんのセールストークはとても上手でついつい話に引き込まれてしまいます。
ここでご紹介したいのは、そのトークではなくジェスチャーです。
もしあなたがテレビでジャパネットの商品紹介を見る機会があったら、「MCがジェスチャーをしなかったらどうなるだろう」と想像してみるといいでしょう。
人を説得するのにジェスチャーがどれだけ必要かわかるはずです。
塚本さんが直立したまま全く身動きしていなかったら、視聴者は商品を買う気になるでしょうか?
もうお分かりですね・・・。
ジェスチャーは人の気持ちを動かすことができるのです。
また驚くべきことに、ジャパネットのショッピング番組には台本がないのだとか。
MCが事前に商品を体感し、その機能をストレートに伝えているのだそうです。
いやぁ~、びっくりしました。
ジャパネットのMCには台本はありません。
商品の良さをとことん理解し、お客様の生活にその商品が加わったときの感動や生活の変化を自分の言葉で伝えます。私たちがおすすめする商品がきっかけで「生活が豊かになった」とより多くのお客様から声をいただけた時が私たちの最大の喜びです。
引用元:ジャパネット
まとめ
スピーチが嫌で緊張してしまうのに、「そんな~ジェスチャーのことまで気が回らないよ」と言われるかもしれません。
スピーチ中に意識して何回も使う必要はありません。
しかも多用する必要はありません。
ジェスチャーを入れる箇所は事前に決めておけばいいのです。
かえってジェスチャーのことばかりに気を取られてしまい、話すことがおろそかになってしまえば本末転倒。
話すことに集中した上で、あなたの感情がそのまま手の動きに表れるのが理想的です。
あくまでも聞き手に伝わりやすくするためにジェスチャーを使いたいものです。
それによって、声のトーンや話しぶりに活気が生まれてきます。強弱といったメリハリも出てきます
。
「アンパンマン」の作者やなせたかしさんが作詞した童謡「手のひらを太陽に」を思い返してみてください。
「♪手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮・・・♬」です。
スピーチはまさにライブです。僕らは生きているんです。
▼身につけておきたいジェスチャーは5つ▼
- 手の内を見せる
- 数字を指で示す
- 大きさ(スケール)を示す
- 手を胸に置く
- 片手を前に出す
ぜひどれか1つでも、あなたの感情に乗せて取り入れてみましょう。
【追記】電話口でもジェスチャーは相手に伝わる
街中で携帯片手にお客さんと電話商談している営業マンを見かけます。
彼は見えるはずもない相手に身振り手振りをして熱く語っているのですが意味はあるのでしょうか?
ジェスチャーには驚くべき効果があると言われています。
目の前にいない相手にも、ジェスチャーによってその熱意は伝わるのです。
ですから電話口でうなずく姿勢は、相手に見えなくとも伝わっています。
気をつけたいものです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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